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低圧系統用蓄電所の最新動向【第2回】低圧系統用蓄電所を支えるプレイヤー構造とアグリゲーターの役割

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低圧系統用蓄電所は、小規模な蓄電池を多数束ねて一つの大きな電源のように運用する事業です。 第1回では、この「束ねる」仕組みが需給調整市場への参加に欠かせないことを整理しました。実際にこの役割を担うのがアグリゲーターで、発電・蓄電設備と市場をつなぐ存在です。2022年の制度導入以降、特定卸供給事業者として届出を行う企業は増加し、電力会社から商社、独立系・新興企業まで幅広い企業が届出を行っています。 第2回では、アグリゲーターの法的な位置づけと、実際にどのような企業が参入しているのかを、資源エネルギー庁の公式データをもとに整理します。

アグリゲーターとは何か

第1回で紹介した通り、アグリゲーターとは、小さな蓄電池を束ねて一つの大きな電源のように運用する事業者です。まずは、この事業がどのような制度のもとで成り立っているのかを見ていきます。

発電・蓄電設備と市場をつなぐ役割

電気事業法上、こうした事業は「特定卸供給」と位置づけられています。資源エネルギー庁の説明資料では、発電等用電気工作物を維持・運用する他の者に対して発電または放電を指示する方法などにより電気の供給能力を有する者から集約した電気を、小売電気事業者や一般送配電事業者などに供給する事業とされています。簡単にいえば、自社で電源をすべて所有するのではなく、他社が持つ発電設備や蓄電池をまとめて制御し、その供給力を市場や電力会社につなぐ事業です。資源エネルギー庁の資料では、この関係を図1のように整理しています。

図1 特定卸供給事業の要件のイメージ(他の電気事業と兼業をしない場合)

特定卸供給事業では、集約する供給能力の合計が1,000kWを超えることが見込まれる場合などに届出の対象となります。この基準は、第1回で紹介した需給調整市場の最低入札量1MWとは別の制度上の要件です。

特定卸供給事業者としての届出制度

特定卸供給事業の制度は2022年4月に導入されました。事業開始前に届出を行い、供給能力やサイバーセキュリティ確保に関する事項などを届け出る必要があります。届出は開始の30日前までに経済産業大臣へ行い、内容によっては変更や中止を命じられる仕組みも設けられています。したがって、単に事業者名を届け出るだけの制度ではありません。

誰が参入しているか

特定卸供給事業者の届出数は、制度開始以降増加しています。資源エネルギー庁が公表する「特定卸供給事業者一覧」をもとに、事業開始日ごとの累計届出事業者数を集計すると、図2のようになります。

図2 特定卸供給事業者数の推移
出典:資源エネルギー庁「特定卸供給事業者一覧」(2026年8月3日時点)をもとに編集部集計・作成

2022年度末時点で41社だった累計届出事業者数は、2025年度末には132社となり、2026年8月3日時点の公表一覧には164事業者が掲載されています。なお、この中には事業開始予定日がまだ到来していない事業者も含まれるため、実際に事業を開始している事業者数とは一致しません。

プレイヤーの類型

届出事業者の顔ぶれを見ると、いくつかの類型に分かれます。1つ目は大手電力会社系で、東北電力、九州電力、北海道電力、中部電力ミライズなどが名を連ねています。2つ目は商社・エネルギー卸系で、伊藤忠商事、丸紅新電力、三井物産、豊田通商などが届出を行っています。3つ目は都市ガス会社系で、東京ガス、大阪瓦斯、東邦瓦斯などが含まれます。

4つ目は独立系・新興企業で、再生可能エネルギーや蓄電池事業を専業とする事業者が多く含まれます。5つ目は蓄電池メーカーやエンジニアリング会社系で、設備の製造・施工と、アグリゲーション事業を組み合わせる動きも見られます。電力、商社、ガスなど、もともとエネルギー事業に関わる企業が幅広く参入している点も特徴です。なお実務では、遠隔監視・制御を担うシステム事業者などが加わる場合もあります。

ただし、この一覧に載っているからといって、必ずしも低圧系統用蓄電所のアグリゲーションを行っているとは限りません。アグリゲーターは蓄電池に限らず、太陽光発電や需要家側のデマンドレスポンス(DR)など、幅広い分散型リソースを対象に事業を行っています。

類型を俯瞰すると、発電・小売・ガスなど既存のエネルギー事業者に加え、蓄電池・ITなどを強みとする新興企業も参入しており、異なる業種のプレイヤーがアグリゲーション事業に関わり始めている構図が見えてきます。

蓄電池メーカー・施工会社との役割分担

低圧系統用蓄電所の事業には、アグリゲーターのほかにも複数の役割が関わります。設備を製造・施工するメーカー・EPC事業者、設備を保有し投資するアセットオーナー、そして複数地点を束ねて市場につなぐアグリゲーターです。1社がこれらの役割を複数兼ねる場合もありますが、機能としては分かれています。

「作る」「持つ」「つなぐ」の3つの役割

蓄電池メーカー・施工会社は設備そのものを「作る」役割を担い、アセットオーナーは資金を投じて設備を「持つ」役割を担います。そしてアグリゲーターは複数の設備を束ね、充放電などを制御しながら市場へ「つなぐ」役割を担い、需給調整市場などへの参加を可能にします。この関係を整理すると、図3のようになります。

図3 低圧系統用蓄電所を支えるプレイヤー構造
低圧系統用蓄電所の事業構造をもとに編集部作成

実際に、この役割分担を体現する動きも出ています。2026年3月、GoodWe Japan、エコ革、WATT-TUNE、REVIX JAPANの4社は、低圧系統用蓄電池事業の推進に向けた協議を本格化し、同月中の事業提携を目標に基本的な合意を行ったと発表しました。約6坪から設置可能なAC49.9kWの設備を各地に分散配置し、WATT-TUNEがこれらをAC1,000kW以上のリソースとして束ね、需給調整市場等での活用を見据えています。機器供給、施工、アグリゲーション、事業企画という複数の専門性を組み合わせて事業化を進める一例といえます。

参考までに、49.9kWという出力は、第1回で紹介した低圧連系の対象となる50kW未満の範囲に収まる規模です。あくまで設備容量だけで単純計算した場合、AC1,000kW以上のリソースを確保するには21台以上の設備が必要になる計算です。実際の必要台数は、稼働率や需給調整市場の供出可能量の考え方などによって変わります。4社の役割を見ると、REVIX JAPANはGoodWe Japanの一次代理店として機器調達を担うほか、WATT-TUNEの事業企画・スキーム構成も担当しています。施工を担うエコ革を含め、各社が異なる専門性を持ち寄る構図となっています。

図4 低圧系統用蓄電所の設備例(GoodWe Japan製「GW50K-ET-JP-G10」) 
出典:株式会社テクノロジーズ プレスリリース(GoodWe Japan提供画像

低圧系統用蓄電所への参入を検討する企業にとっては、自社がこの3つの役割のどこを担うのかを明確にすることが、事業設計の出発点になります。

まとめ

第2回では、低圧系統用蓄電所を支えるアグリゲーターの法的な位置づけと、実際の参入企業の広がりを整理しました。特定卸供給事業者としての届出は2022年4月の制度開始以降、2026年8月3日時点で164事業者が公表一覧に掲載されており、電力会社・商社・ガス会社・独立系企業・メーカーなど幅広い業種が届出を行っています。

低圧系統用蓄電所の事業は、設備を「作る」「持つ」「つなぐ」という複数の機能が組み合わさって成立します。参入を考える際は、自社がこのどこを担い、誰と組むのかを明確にすることが出発点になります。設備を保有するだけで市場運用まで完結するとは限らず、アグリゲーターなどとの連携が必要になるケースがあり、必要な能力もリスクも役割によって異なります。

では、この事業は実際にどれほどの収益が見込め、どのようなリスクが伴うのか。第3回では、低圧系統用蓄電所の市場の可能性と課題を、実際の取引データをもとに整理します。

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