環境が“タダ”として扱われている現状について

  • 更新日:2020/08/28

所属:日本大学

インターン生:R.Kさん

環境が“タダ”として扱われている現状についての写真

近年環境問題が明確化し、その対策を世界的な機関や各国での会議、またNGOの活動等を通して行われている。しかし、そういった活動における成果は、環境の悪化を上回ることができていない。ここで、COP3にて締結された京都議定書に対しての取り組みとその成果を挙げ、今までの活動内容における問題点を考えていく。

近年環境問題が明確化し、その対策を世界的な機関や各国での会議、またNGOの活動等を通して行われている。しかし、そういった活動における成果は、環境の悪化を上回ることができていない。したがって、尚も継続して環境問題は悪化の一途をたどっている。

世界中で協力的に活動を行っても、変わらない現状。ひとりひとりの行動が重要であるが、その言葉で収めるには、あまりにも無責任である。では、いかにして諸問題を改善していけば良いのか。IPCCの予想シナリオにおける最終的な基準年である2100年までに、あと80年以上は猶予がある現段階(2016年7月現在)で、今一度考え直す必要があるのではないのだろうか。

ここで、COP3にて締結された京都議定書に対しての取り組みとその成果を挙げ、今までの活動内容における問題点を考えていく。

日本では上記会議において、二酸化炭素を主とする温室効果ガス(以下GHG)を2008年から2012年の5年間において、1990年比で平均6%削減することを目標としていた。結果的には目標達成ということになったが、この達成には多くの妥協点が伺える。実は、この京都議定書の排出削減目標には、森林による二酸化炭素吸収量を含めていいことや、「京都メカニズムクレジット」と呼ばれる削減達成のための金銭的やり取りが認められていたのだ。実際、2008年から2012年におけるGHGは1990年から5千万t以上は多い年が多く、GHGは減少どころか、むしろ増加している。

では、いかにして削減目標を達成したのか。まず、1990年のGHG排出量の3.9%分は森林の公益的機能の一つである、「二酸化炭素吸収」によりその排出量を賄うことができ、残りの2.1%と増加分(1.4%)は、「京都メカニズムクレジット」にける、金銭的やりとりにおいて補ったのである。「京都メカニズムクレジット」は、GHG排出枠に余裕のある企業や国から排出枠を購入する方法や、省エネが進んでいない発展途上国などに技術や資金を供与し省エネ投資を行い、GHG排出量を削減、それを国際的に認証してもらうことで、取得した排出削減量を自国の削減目標の達成に用いることである。日本政府では、総契約量は9,756万tがCO2で、取得に要した予算の総額は約1,560億円と公表されている。

上記内容からわかるように、日本での京都議定書における排出削減目標はなんとか達成はされたが、実際は、削減したのではなく、森林の公益的機能の利用や金銭的な解決により達成したと言えるのである。詳細な内容を伝えると、2011年に、東日本大震災における原子炉の活動停止から火力発電へと電力の供給源が変わったことが、GHGの増加の大きな要因の一つである為、仕方のなかったことではあるかもしれない。

では、震災の影響を含めずに考えていく。1990年から2010年においての変化について、以下のグラフ1を元に考えていく。

グラフ1 日本における温室効果ガス排出量の推移(1990-2014年度) 出典:「温室効果ガスインベントリオフィス」

上記グラフを参考に、経済的影響を含めながら、考えていく。

京都議定書では1990年をGHG排出の基準の年としているわけであるが、1991年にバブル経済が崩壊し、約5年で景気を立て直したその背後には、GHGの排出量が近年で一番多いという、経済的活動による温暖化への大きな影響が伺える。また、極端にGHG排出量が減少している赤い棒グラフにおいては、日本が経済的に不安定な時期であり、1997年にはジャパン・プレミアム問題、1998年にはアジア金融危機が起こり、2001年にはITバブル崩壊、2008年にはリーマンショックが起こっている。

また、このGHG排出起源について考えていくと、金融危機の影響による製造業の生産量の減少等と共に産業部門の排出量は減少。運輸部門については、交通需要の増大等により排出量が増加したが、2000 年以降は輸送効率の改善等により排出量が減少傾向にあることがわかっている。しかし、業務部門や家庭部門では、エネルギー消費量が大きく増加したことが分かっており、企業側の努力は伺えるが、サービス業や家庭側における、環境問題への取り組みは十分ではないと言える。

上記内容から、世界的にどんなに大々的な環境への対策を行ったとしても、経済が不安定な状況であった方が、個人や企業におけるGHGの排出量は削減されると言えるのではないだろうか。

したがって我々は、環境資源に対する経済的な繋がりを、今までより、より強く持たせるべきではないのだろうか。ひとりひとりの意識が異なる状況で、強制的に環境に対しての価値をつけ、誰から見ても、“大切な資源”としての認識を持たせる状況にすべきではないのだろうか。水や木々、生物や鉱物等、さまざまな環境資源を手に入れることに対して“お金がかかっていない”またそこから作り出される“産物が安価で売られる”現状は、周りの環境を破壊していくだけでなく、我々の未来の生活をも脅かすのである。

最後に、現在の環境問題への取組について、2015 年 11 月 30 日からフランス・パリで開催されていた国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第 21 回締約国会議(COP 21)、通称パリ協定の目標をもとに考えていく。左記会議において、地球全体の長期目標として「産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満に抑える」こと、「今世紀後半には、人為起源のGHG排出を正味ゼロにする」こと等が挙げられ、各国の責任として「2020年以降の目標を5年ごとに約束草案(INDC)として提出し、その見直しも行う」ことを求められることにまとまった。そして、日本におけるINDCはCOP19の決定に従い2015年7月17日にすでに提出しており、「2030年度に2013年度比から26%GHGを削減する」ことを目標としている。この目標を達成するにあたり、エネルギー消費を13%削減する必要があるとしており、家庭からの協力が不可欠であるが、前述したように、家庭における排出量の削減はとても難しいものと考えられる。また、この目標は原子力発電を主力発電源として使用していない現状ではとても厳しいとされている。それは、現在日本の主力発電として活用されているLNGや石炭・石油火力発電による二酸化炭素排出量が、原子力発電における排出量の30倍~40倍もの量を排出するからである。

つまり、世界的に地球温暖化に対する対策が練られ、日本での目標設定はされたものの、現状を改善する確実な手段は未だにないため、パリ協定で設定された目標を、金銭的な問題で解決し、目標を達成したという空想を再び作り出すのではないかと筆者は懸念する。

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エコモ博士
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