木質バイオマス発電

バイオマスエネルギーには様々な種類があります。この中で、特に木質燃料を使った木質バイオマス発電について紹介したいと思います。

バイオマスの累計

木質バイオマス発電

木質バイオマス発電とは、間伐材や未利用木材を利用して木質チップやペレットを作り、ボイラーで燃やして発電する仕組みのことです。

バイオマス木質燃料のイメージ

背景

木質バイオマス発電が普及し始めた背景には、2012年7月に始まった再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)があります。これは、再生可能なエネルギーを用いて発電した電力を、電力会社が一定の価格で買い取るという制度です。この制度により、多くの事業主が太陽光発電や、風力発電に乗り出しました。この中で、特に注目を集めているのが木質バイオマス発電です。

水力発電との比較

ここでは、木質バイオマス発電と小水力発電との比較を行いたいと思います。再生可能エネルギーの発電比率をみると、バイオマス発電による発電量は他の再生可能エネルギーに比べて圧倒的に少ないのです。その一方で、小水力発電は全体の6割近くを占めています。なぜこんなにも差が生まれているのか、両者を比較しながら見ていきたいと思います。

再エネによる発電比率

出展:千葉大学倉坂研究室+NPO法人環境エネルギー政策研究所 『永続地帯報告書2010』

1)小水力発電とは

小水力発電とは概ね、10,000㎾以下規模のものを指します。一般河川、農業用水、ダムなどを利用し、無駄になっているエネルギーを利用します。

2)小水力発電のメリット

一般河川や農業用水など水の流れがある所に水車を設置するため、コストを抑えることができ、経済性が高いと言えます。また、その手軽さから地域単位でも導入することができ、エネルギーの地産地消につながるでしょう。天候の影響もなく、安定的に電力を得ることができるという点も小水力発電の長所のひとつであります。以上のように、木質バイオマス発電に比べ、小水力発電は手軽でコストもかからないため、広く導入され、高い発電比率につながっていると思われます。

 具体的な内容説明

1)木質バイオマスの具体的な内容

木質バイオマスについて、具体的な説明に移りたいと思います。木質バイオマス発電では、今まで無駄になり、環境破壊の原因にもなっていた間伐材や未利用木材を利用します。未利用木材を利用した発電の固定買い取り価格は、33.6円/kwh(平成27年度)と他のバイオマスエネルギーと比べても高額で、この価格なら採算が合うと導入を進める企業や自治体も増えています。

2)木質バイオマスのメリット

木質バイオマスを取り入れるメリットとしては、地球温暖化の防止につながること、建築廃材などの廃棄物の発生を抑制できること、林業関係での雇用が創出されることがあげられます。雇用の創出により、人口の増加、消費の拡大など地方創生にも一役買っています。

3)木質バイオマスを取り入れた地域例

木質バイオマスを取り入れたことで、地方創生につながった地域を紹介したいと思います。

北海道の下川町では、旭川からさらに200kmほど北に位置する町で、冬になると氷点下30℃近くまで気温が下がります。そのため、暖房に使用する化石燃料の影響でCO2の排出量が多く、問題視されていました。また、エネルギー購入による赤字が地域の財政を圧迫していました。そうした問題を解決しようと取り組まれたのが木質バイオマス発電です。平成16年に下川町の温泉施設に木質バイオマスボイラーを導入したことをきっかけに、幼児センターや農業用のハウスなどにも次々と導入されました。これによって、年間1600万円(2012年度)のコストが削減されました。

また、林業関係での雇用も増え、ここ2年間で、下川町の人口は社会増に転じるという珍しい事態が起きています。

バイオマスの設置場所

出典:下川町HP

効果、影響、結果

木質バイオマス発電を行うことにより、上に述べたように地球温暖化防止などの効果が期待できます。また、近年廃れていく一方であった林業に新しい風が吹いており、大きな影響を与えていると言えるでしょう。

関連した動き

木質バイオマス発電だけでなく、初めに述べた生物や有機物をエネルギー源にするバイオマス発電も広がりを見せています。政府は、2010年に打ち出した「バイオマス活用推進基本計画」のなかで、バイオマスを活用した新しい産業を2020年に向けて進めていくと発表しました。特にバイオマスの技術開発に力を入れることを目指しており、ここまで話題にしていた用途のない木材はもちろん、食品廃棄物、下水汚泥、家畜排泄物に注目していくということです。

今後の展望、可能性

日本には、無駄になっている木材が毎年東京ドーム16個分(2009年度)も発生しているといわれています。また、原子力発電所の稼働に反対する声も数多くある中で、木質バイオマス発電は今後ますます発展していくのではないかと思われます。

懸念

木質バイオマス発電が今後ますます普及していくだろうという期待の一方で、問題点も数多く残されています。

①搬出コストの価格

未利用木材の搬出コストが高いことです。林道、作業道が整備されていない山間部では、未利用木材を搬出することが技術的に難しい場合もあります。これでは、発電に必要な量を集めるのに相当苦労するでしょう。

②土地所有者の相続権利

また、二つ目の問題としてあげられるのが、土地所有者の相続についての問題です。何代にもわたって、森林が相続されている場合、現在の所有者が誰なのか不明なことが多くあります。他人の土地の木材を勝手に利用するわけにもいかず、開発が進まない地域もあるということです。

③木材の確保

最後に、地球環境を破壊しかねないとの声もあります。先に、未利用木材は年間、東京ドーム16個分もあると述べましたが、それは常時発電できるほどの量なのかという問題が出ています。資源が不足しているからといって、無計画に伐採などを行えば、日本の山が禿山になってしまう可能性も出てきます。また、海外の木材資源に頼ることも考えられますが、それでは日本の林業がますます衰退していくことにもなりかねません。資源調達においても課題が残されていると思われます。

まとめ

以上、木質バイオマスには問題点も多く残されています。しかし、環境にも優しく、日本の林業再生にもつながる発電方法として期待できると思います。また、他のバイオマス発電や再生可能エネルギーとの併用でますます発展していくのではないでしょうか。