NAS電池

NAS電池とは

負極にナトリウム、正極に硫黄を、電解質にβアルミナと呼ばれるファインセラミックスを利用した二次電池のことです。

背景

1967年にフォード自動車社がNAS電池の基本原理を発表し、1980年代から東京電力株式会社と日本ガイシ株式会社が共同研究し、事業化しました。2002年から販売を、2003年には量産を開始しました。

特徴

NAS電池の長所としては、以下のことが挙げられます。

  1. メガワット級の電力貯蔵システム
  2. 大容量
  3. 高エネルギー密度
  4. 長寿命
  5. 高速応答性

定格出力×6時間相当のエネルギーを貯蔵することが可能で、複数のモジュール電池を直並列化することで大容量化が容易に果たすことが出来ます。エネルギー密は鉛蓄電池の約3倍です。定格容量維持4500充放電サイクルまたは耐用年数約15年の耐久性を持つため、長期にわたって安定した電力供給が出来ます。燃料の扱いがなく、稼動部分もないので、稼動時の騒音や排気もなくメンテナンスも容易とされています。また、瞬時電圧低下対策兼用システムでは、瞬低を検出した場合、即座にビルや工場などへ電力を供給することが可能です。

短所

  1. 常温では動かないため、作動温度域である300℃程度に温度を維持する必要がある
  2. 火災事故を起こした際に通常の水系の消火薬を使用することができない

などが挙げられます。作動温度域に維持するために、ヒーターや発電時の発熱を用いる点、金属ナトリウムが消火薬と反応してしまうため、一般の消防では火災への即応が難しい点などが問題点と言えます。

可能性

高速応答性をも持つため非常用発電としても用いられます。大容量の電気を蓄えて必要なときに送りだすことができるため、夜間に発電された電気を充電しておき昼間に使用することが出来ます。また、これにより風力・太陽光発電などの再生可能エネルギーの電力を一時的に蓄電することも可能です。

エネルギー密度が鉛蓄電池の約3倍であることから、より狭いスペースで大容量の蓄電池を設置することが可能になります。そのため、再生可能エネルギーの安定化、節電対策やエネルギーコスト削減、環境負荷低減に役立つことが期待できます。

危険性

2011年9月21日には、NAS電池システムを構成するモジュール電池40台のうち1台に製造不良の単電池が1本あり、それが破壊して高温の溶融物が流出して火災が発生する事故が起こりました。ナトリウムは水と反応し、爆発する性質を持つため消火活動が通常より難しく、砂をかけるなどの消火活動が行われましたが鎮火までに2週間もかかり延焼範囲が想像以上に拡大しました。

1991年3月に消防庁から「NA-S電池(ナトリウムー硫黄電池)に係る安全性の調査検討報告書」が報告されていて、一般取扱い所としての運用基準は、1999年6月に消防庁危険物規制課長から「ナトリウム・硫黄電池を設置する危険物施設の技術上の基準等について」の通知が示されています。このことから、必ずしもNAS電池が安全であるとは言えません。