ドイツの電力自由化

電力自由化とは

電力市場の自由化とも言い、従来自然独占されてきた電気事業への市場参入規制を緩和し、多数の新規事業者を参入させ、市場競争を導入することです。目的は、電気料金の引き下げや電気事業における資源配分の効率化をすすめることです。

電力自由化の具体的な内容

具体的な内容は、下記が主な項目となります。

  1. 誰でも電力供給者になることができる(発電の自由化)
  2. 自由に電気を供給する会社を選べる(小売りの自由化)
  3. 誰でもどこへでも既設の送・配電網を使って電気を送・配電できるようにする(送・配電の自由化)
  4. 既存の電力会社の発電部門と送電部門を切り離すことで競争的環境を整える(発送電分離
  5. 電力卸売市場の整備

ドイツ電力自由化の背景

19世紀後半では、国有の電力会社は存在せず、シュタットベルケと呼ばれる水道、交通、ガス供給、電力事業などの個人で担当できないインフラ整備を担当してきた地元電力事業が電気を供給してきました。

電力自由化後のドイツ

1998年に新しいエネルギー事業として、家庭用も含めたすべての需要家が電力の購入先を自由に選択できる全面自由化が実施されました。市場規模としては4.5兆円の市場開放だったと言われています。

地域ごとの電力会社の中でも市営電力会社は900社以上も存在していましたが大手電力会社による買収や統合によって2004年までに700社ほどに減少しています。さらに大手電力会社の出資を受け入れている市営電力会社も多くなっていました。しかし、2015年時点には盛り返し、RWE、EnBW、 E.ONの主要3社を中心に地域限定系の電力会社をメインに1100もの電力会社が設立、合計すると1万種類以上に及ぶ電気料金プランが提供されています。

小売市場でも競争が活発化しており、再エネ事業者の増大や脱原発の影響もかさなり主要三社のシェアは2009年時点で40%程度まで落ち込んでいます。

電力自由化の影響

自由化当初は当事者間の交渉に委ねられており、周辺各国に比べ割高となっている状態が続いていました。そのため2005年から新しく規制機関による承認が必要になりました。しかし、近年は燃料価格の変動、環境税の引き上げ、再生可能エネルギー買取コストの増大、CO2排出権取引の開始等の影響により料金水準が変動する要因が増えてきています。

今後の展望

ドイツでは自由化された当初、料金の設定を当事者間の交渉に委ねていたことや、発電所を独占している大手企業による「売り渋り」の影響もあり電気料金は上昇することになってしまいました。また、自由化当初に参入していた異業種や独立系ベンチャー企業の多くが倒産し、多くの消費者の信頼を失ったことや、事業増加による電力市場の複雑化はドイツの消費者に多くの不安やストレスをもたらしたといえるでしょう。

一方、電力の自由化は事業者に効率化を促すきっかけとなり、電気料金の抑制に繋がるため、その特性を生かした進展が期待されます。