エコキュート

エコキュートとは

環境を考えて開発された、大気の熱を利用してお湯を沸かすヒートポンプ式の家庭用給湯システムのことです。

背景1:フロンの歴史

エコキュートのヒートポンプには、フロンに替わる環境に負荷をかけない二酸化炭素が使われています。フロンは20世紀中盤に冷媒や溶剤として大量に使用されましたが、その後オゾン層破壊の原因物質だと判明し、1987年にモントリオール議定書で特定フロンの段階的規制に踏み切って以来、世界中のメーカーが共同でフロンに頼らない冷却方法の調査・研究を行ってきました。エコキュートはフロンを使わないだけでなく、大気の熱から熱エネルギーを作り出すため、使用する電気エネルギーに対し約3倍もの熱エネルギーを得ることができ省エネにも寄与しています。

背景2:オール電化の拡大

また、近年、ガスを使わないから安心、そして再生可能エネルギーで電気を作っているから環境にも優しい、という理由で、家庭内のお風呂、急騰、調理、照明、冷暖房を全て電気でまかなうオール電化住宅を選ぶ人が増えています。そのため、太陽光エネルギーを利用した発電システムやIHクッキングヒーターと一緒に、エコキュートが選ばれています。2006 年度時点で、新規着工住宅数に占めるオール電化採用率は、地域によりばらつきはあるも のの、多いところでは新築戸建て住宅の 67%を占めるところもあり、その割合は年々増加 しています。

従来の給湯システムとの対比

従来のガス湯沸かし器は火を燃やすので、二酸化炭素を排出してしまうほか、お湯を使用するたびにその都度沸かすので効率が悪いという欠点があります。エコキュートは、「ヒートポンプ」という温熱方式を採用しており、夜間電力を使用し、深夜のうちに沸かした90度と非常に高温のお湯を、貯湯タンクに貯めておいて次の日に使用します。このためエネルギーを最小限に抑えることができ、経済的です。

しかし、エコキュートで貯めておいたお湯は塩素が抜け消毒効果が薄れるため、飲用に利用することができません。従来のガス湯沸かし器はガスの炎で瞬間的にお湯を沸かすので、新鮮で安全なお湯を供給することができます。

また、似たような給湯システムの1つに電気温水器があります。電気温水器とは、割安な深夜電力を利用して電気の力(ヒーター)によりお湯を沸かし、貯水タンクにお湯をためて使用するという昔からある給湯機の一つです。これに対してエコキュートの場合は、室外機を使って外の熱をヒートポンプで圧縮することで熱を作り出し、その熱を使いお湯を作ります。このため電気給湯機よりもエネルギー効率が良く、電気代はおよそ1/3になります。

エコキュートのしくみ

エコキュートは、外部の空気を取り込みお湯を沸かす「ヒートポンプユニット」とお湯をためる「貯湯タンクユニット」の2つの機器からできています。ヒートポンプは、圧縮鍋と同じく、圧縮されることにより熱を帯びるという空気の特性を活用しています。まず、ファンをまわしてヒートポンプユニットに空気を取り入れ、集めた空気の熱を冷媒(二酸化炭素)が吸着します。その集めた熱をコンプレッサーにより圧縮して高温にし、給湯機に送りだします。冷媒は膨張機を通過して低温化し、再利用します。この流れで空気から熱を生み出すことにより、高いエネルギー効率を実現しているのです。

エコキュート導入のメリット

エコキュートはこのような仕組みにより、従来の給湯システムと比べ非常に高いエネルギー効率でお湯を沸かすため、エネルギー量を節約し環境に対する負荷を低減します。具体的に比較すると、都市ガス給湯機1台が年間に発生させている二酸化炭素(Co2)はおよそ860kgです。これに対し同条件でエコキュートを使った場合、442kgと試算することができ、約418kgの二酸化炭素(CO2)を削減することができます※。

※CO2排出量については「2005年九州電力環境アクションレポート」による。ただし、電気のCO2排出量単位については2004年度当社実績(夜間)を使用。

また、2003年住環境計画研究所家庭エネルギー統計年報より、電気温水器とエコキュートの消費エネルギー量を比較すると、およそ1/3程度の電力でお湯を沸かすことができるといわれています。さらに、エコキュートでは、電気代が安い深夜電力を使ってお湯を温めるため、都市ガスと比較しても1/5以下のコストでお湯を沸かすことができます(九州電力調べ)。このため、家庭の電気代節約に貢献します。

新電力とエコキュート

「電力小売り自由化」が実施され、今よりも電気代が削減されるようになれば、エコキュートをはじめとするオール電化の導入はさらに経済的になり、勢いを増して普及していくと思われます。現在エコキュートなどの設備をお持ちの家庭では、ガスと電気を併用していた頃と比べて30~35%程度光熱費が下がっています。ですが、電気の契約先を新電力に変更すれば今よりさらに1~2割の電気料金が安くなることが見込めるのです。

オール電化の家庭では、電気の使用量が多いのですから、節約金額はその分大きくなります。今後台頭するであろう電力小売り企業の中では、一般の電力会社のようなオール電化向けプランやエコキュート割引などを用意する所も出てきそうです。

今後の課題

エコキュート導入をはじめとするオール電化の家庭は、確かに環境に配慮したものになっています。しかし、オール電化の導入が、逆に消費者の省エネ行動を減退させる結果も招きかねません。地球温暖化問題の解決にあたって最も本質的で重要な手段は、消費者1人1人の基本的な省エネ行動の積み上げです。ところがオール電化は、省エネ行動をしたとしても、削減効果が出にくい構造になっています。

エコキュートを含む電気式温水器では、お湯を使う分だけ沸かすのではなく、常に一定量が沸いている状態が維持されています。使い切れなかったお湯は次の日のために貯めておかれるため、保温のためのエネルギーが常にかかる点が問題となります。お湯を少なめに使うように工夫したとしても、この保温エネルギーは減らすことができません。

また、深夜の電気料金が安く設定されており、この時間帯なら電気を多く使っても構わないと考える人もいることが、省エネ行動を減退させることにつながっています。

消費者の環境意識を高めながら、より環境経済性に優れたエネルギーシステムを広めていくことが、今後の課題になっています。