9電力体制

9電力体制とは

9電力体制とは、日本全国(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州)での9つの民間電力会社による独占的な電力供給体制のことです。戦後の沖縄返還後は沖縄電力の加入により実質的に「10電力体制」になっています。

背景

9電力体制は、戦後の昭和26年から始まりました。戦前までは、電気事業は国営事業であり、国策会社の日本発送電が発電と送電を所有し、全国に9つに分けた配電会社が配電を担っていました。戦後になり、電気事業を公営か民営か、発送発電を分化するか一体化するかなどの議論が行われましたが、最終的に電気事業再編審議会会長の松永安左エ門の案である、「地域別民営9社による配送発電一貫経営」が採用されました。

垂直一貫体制とそのメリット・デメリット

日本全国の9つの民間電力会社が発電、送配電また小売りまでを一貫して運営しています。

メリット

発電所の設計時にそれに見合った電力流通設備設計も行うことができ、過剰な設備建設を避けられ経済合理性のある発電、送配電のネットワークを構築することができます。また、発電と電力流通が一貫して管理されているので、大地震などの大規模災害時においての停電や供給不足の早期復旧活動が可能です。

デメリット

独占的な発電・電力配給は、競争原理が生まれず価格競争が起こらないため、諸外国に比べ日本の電気料金は高水準であることです。また、独占的な発電・供給によって競争が不足することになります。

新電力と9電力体制

電気事業制度改革(平成11年)により、小売り部分が自由化され電力会社以外の電力市場に参入し始めました。これにより、契約電力が50kW以上ならば、既存の9つの民間電力会社以外とも契約が可能になりました。

海外の動き

海外に目を向けると、英国では1990年に、当時国営事業だった電力発電の送電を分離し、ヨーロッパにおいて電力自由化にいち早く取り組みました。また日本のように、地域独占型だったドイツも送電部門を子会社化しており電力の自由化が進んでいます。

9電力会社の今後

東日本大震災がもたらした発電環境の変化(原子力発電に対する不安等)や、エネルギー需要のひっ迫度増加などのパラダイムシフトに直面することで、低廉で安定的な電気供給の維持に不安が広まりました。それを改善するため事業者と需要家が創意工夫を行うことが必要との見方も出ており電力システム改革専門委員会が報告書を経済産業省に提出しています(2013年2月8日)。このような動きが一因となり、電気事業法改正によって電力会社以外の電力小売りが自由化し、自由化対象の需家は電気事業者を選択できるようになりました。

電力の自由化により、既存の電力会社は供給義務を負わなくなりましたが、どの電気事業とも契約合意が成立しなかった場合のために、最終保障の義務が課せられています。また、安定した電力供給や災害時の停電などの早期復旧には、既存の供給体制維持が必要である、という意見もあります。