天然ガス発電

天然ガス発電とは

火力発電の主な燃料のうちの一つである天然ガスを燃料として燃焼させることでエネルギーを得る方法やガスコージェネレーションシステムを用いた発電のことです。日本では主成分がメタンであるLNGと呼ばれる液化天然ガスが用いられています。

背景

1959年にアメリカからイギリスまでの海上輸送が可能となったことから、日本では、1969年にLNGを安定供給させるためのアラスカLNGプロジェクトにより東京ガスが三菱商事に依頼し、導入を開始しました。

LPG発電との違い

類似した用語としてLPG発電があります。LPGとは液化石油ガスのことで、プロパンやブタンを圧縮することとで液化したもののことで、これを燃料に発電します。メタンとエタンを圧縮、冷却することで液化するLNGを燃料にする天然ガス発電とは異なります。

仕組み

原理は、初めに、燃焼する際により大きな発電をするために空気を圧縮します。次に高圧の空気によってガスが燃焼器に送られ、燃焼します。そして、最終的に発生したガスによってタービンを回転させることによって発電がおこなわれます。

メリット

天然ガス発電におけるメリットは3つ挙げられます。

1.高効率の発電ができること

天然ガス発電のうち、ガスコージェネレーションシステムという仕組みを利用すれば、発電で発生した排熱をまた別の電力源として使用することができるため、一般的な火力発電の効率が40%弱であるのに対して、63~80以上という高効率の発電ができます。

2.二酸化炭素や公害物質の排出が少ないこと

天然ガス発電では、石炭や石油を用いた発電に比べて、温室効果ガスである二酸化炭素や公害物質である窒素酸化物や硫黄酸化物の発生を抑制することができます。これにより、地球温暖化や酸性雨や光化学スモッグなどの公害を抑制することができる可能性があります。

3.供給安定性が高いこと

天然ガスは石炭や石油に比べると、より多くの地域から産出することができるため、世界各地から輸入することができ、安定した供給が得られることが考えられます。

デメリット

天然ガス発電におけるデメリットは4つ挙げられます。

1.輸送コスト、貯蔵コストがかかること

日本へ天然ガスを輸入しようとすると天然ガスを液化しLNGにする設備やタンカーが必要になり、また、輸入したLNGを保存するには冷凍する設備が必要となり、長期的に保存しようとすればするほど、コストが高くなっていくことが考えられます。また、他の資源と比較しても、単位熱量当たりの輸送コストが高くなることもわかっています。

2.環境汚染の原因になること

天然ガスを採掘する際に用いる化学物質や漏れ出したメタンガスによって大気汚染や水質汚濁が起きてしまうことが考えられます。実際に、アメリカ東海岸のシェールガス採掘現場周辺では水道水に着色やにおいの付着がなされている事例が起きていて、健康リスクが生じています。

3.地球温暖化の原因になる可能性があること

天然ガス発電によって、温室効果ガスである二酸化炭素の排出を抑えることができますが、メタンガス自体も温室効果ガスであるため、天然ガスを採掘した際に漏れ出したメタンガスによって地球温暖化が進行してしまう可能性も考えられます。

4.地震のリスクを高める可能性があること

天然ガス採掘の際に高圧で注入する水によって、岩と岩の間が滑りやすくなって地震を誘発し、引き起こされる可能性が高くなるという一説があります。2004年の新潟中越地震などもこれの一例として挙げられ、近年の地震増加の原因になっているという考えがあります。

現状

2014年時点では、日本の火力発電における天然ガス発電の割合は約46%となっており、火力発電に用いられる燃料のうち最も高い割合を占めています。一般家庭においては、都市ガスやガスコージェネレーションシステムとして用いられています。

日本が利用している天然ガスのほとんどは輸入されているもので、液化することで体積を約600分の1にまで小さくして、LNGにして輸送します。輸入量は世界で輸出されている天然ガスの約6割にも及びます。2014年時点では、オーストラリアやカタール、マレーシアなどが主な輸入先です。

今後の展望と懸念

北米では数年後には、シェールガスの割合が天然ガスの半分を占め、大きなエネルギー源となることが予想されています。2011年の東日本大震災の後、日本では火力発電の依存が高まったため、天然ガス発電においてもエネルギー供給の割合が高まり、今後もますます増加していくとみられます。

LNGの輸入先はマラッカ、中東、ホルムズといった地域であるため、国際情勢の状態に影響を受けやすい立場にあります。天然ガス発電の課題は、LNGの輸送が石油に比べて容易ではないため、パイプラインで輸送することによってより低コストに抑えることが求められています。日本では近年、日本近海に大量のメタンハイドレートが埋蔵されていることがわかっており、今後のエネルギー源になることが期待されています。