フランスの電力自由化

電力自由化とは

これまで独占的な電力供給を行っていた電力会社以外の電力市場への参入を許可または活発にし、価格競争や電気事業の効率化を図る取り組みのことを言います。

電力事情

フランスは、日本と同じように石油、天然ガス燃料に乏しい国であるため、第一次石油危機(1973)を契機に外部情勢に左右される天然資源による発電ではなく、原子力発電所の研究・建設に力を入れてきました。そして、現在も全体の発電電力量の約8割を原子力に依存しています。

しかし、2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、「減原発」の動きが活発になり、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入・開発が進んでいます。

電力自由化までの歴史

長い間、国有フランス電力公社(EDF)が独占的に電気を供給してきたフランスでしたが、1999年の電力自由化指令により徐々に進められ、2000年にフランスは電力自由化法を制定しました。

開始直後は、年間消費電力量の1億kWh以上の需要家おおよそ200軒が対象とされていたが、その後段階的に実施条件が緩まり、2004年7月には産業・事務用需要家のすべてが対象となりました。そして2007年7月、家庭用も含むすべての需要家の全面自由化が実施されました。

電力自由化の影響

フランスでは電力自由化が開始された後も電気料金は低料金かつほぼ横ばいとなっています。しかし、フランスの電力料金が安い理由は原子力発電比率が高いからであり、自由化の影響を受けて生じる価格競争によるものではなく、EDFの独占の影響が今もなお続いているといえます。

自由化による電気料金への影響が薄いとされる中、2014年までに全体の10%程度の家庭が電気・ガス会社を変更した経験を持っているというデータが政府から公表されています。

電力自由化の現状

フランスには、2つの電気料金制度があり、「市場料金」と「規制料金」に大別されます。

市場料金は、自由化の権利を行使しEDF以外の事業者と契約した利用者が払う電気料金のことを示します。一方で、規制料金は、電力自由化後もEDFとの契約を続けている利用者が払う料金のことを指します。フランスの場合、規制料金が市場料金よりも価格が安い状態が続いており、市場競争が機能しづらい状態にあります。

このように、電力市場を取り巻く環境が価格競争を阻害しているため、フランスにおける電力自由化は開始後ずっと伸び悩んでいます。さらに政府によるフランス国外での市場競争の促進、EDFによる発電施設の独占によって、フランス国内への新規事業者の参入が阻まれています。

今後の展開

事実上続く政府による電力市場への介入や旧国有電力公社EDFの独占状態を無くすようEUからの忠告を受けて、2016年以降に産業・業務用の規制料金制度の廃止を宣言、そして、新規参入企業へ原子力発電電力量の一部を売却する制度を開始しました。これらが達成された時、フランスの本当の電力自由化が大きく前進すると予想されています。