ビルオーナーとテナントによる新電力事業の可能性

2015年11月16日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

ビルオーナーとテナントによる新電力事業の可能性の写真

新電力への切り替えは、テナントの方にとっては簡単ではありません。基本的に建物ごとの契約となるため、オーナーの理解が必要なためです。そこで、グリーンリースの考えを取り入れた新電力事業の可能性について考察します。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

テナントによる新電力切り替え

テナントの皆様にとって、日々の電気代はできる限り削減したい項目であるかと思います。そのため、新電力への切り替えにより電気代を削減したいケースも増えると想定されますが、現状では基本的に建物(受電設備単位)ごとの契約になるため、簡単に新電力に変更はできません。ただし、2016年度から本格的に始まるグリーンリースを取り入れることにより、ビルオーナーとテナント双方にメリットの生まれるビジネスの形が形成される可能性が高まります。

新電力とグリーンリース

グリーンリースの考え方

グリーンリースとは、ビルに対する省エネや環境配慮を推進することにより、ビルオーナーとテナント双方にメリットが生まれる契約体系のことです。例えば、省エネ設備の設置に必要な費用を、ビルオーナーとテナントの双方で分担し、削減した光熱費の利益を適切に配分するような契約となります。一般的に、グリーンビルディング化に要した費用の回収は、長きにわたります。現状の場合、その負担を光熱費の削減効果が見込めないビルオーナが回収可能なケースは限定されます。テナント側としても、よほど契約期間が長いなどの状況がない限り、簡単には省エネ等への設備投資に手を出しづらいです。その点、グリーンリースでは双方が設備投資を回収可能な契約を形作ることが可能です。

新電力による光熱費削減の場合を見ると、現状では新電力への変更が直接的にはビルオーナーにとって経済的便益を生みません。なぜなら、電気代の支払いはテナントによって行われるため、その経済効果はテナントが享受するからです。そのため、新電力への切り替えによるビルオーナー側のインセンティブを生みづらい構造となります。貸借の条件として電気代が安くなることを条件づけるメリットはありますが、必ずしも新電力への切り替えに積極的になるとはいえません。一方テナント側も、自社のみではなく、ビル全体の契約変更が必要なため、新電力への切り替えに対し消極的になる可能性が高いと思われます。

ここでグリーンリースの考え方を取り入れると、新電力切り替えによる利益をビルオーナーとテナントの双方が享受可能な配分とするなど、新たなビジネスモデル形成の可能性が生まれます。その際、環境配慮への設備投資と新電力をグリーンリースに組み込んだビジネス展開などが期待できます。

グリーンリース概念図

省エネ事業や社内環境改善への展開

グリーンリースモデルの場合、省エネによる費用削減がビルオーナーにも還元されるため、積極的に設備投資を実施するケースも増えていくと想定されます。そこに新電力事業に関心のある層を組み込み、契約の切り替えと併せて、省エネや社内の環境改善を実施するような環境コンサル・ビジネスが生まれる可能性が期待できます。

このようなポテンシャルを持つグリーンリースですが、現在はJ-REITの大和証券オフィス投資法人や、日本リテールファンド投資法人などが一部で実施するのみです。まだまだ普及には至っていませんが、2016年から制度も構築されていき、普及が加速していくと見込まれています。

グリーンリースのメリット

補助金の活用

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

次の記事:環境不動産とESG投資による新電力を活用したCSR活動

12

執筆者情報

新電力ネット運営事務局の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

価格と需要から見るガスと電力、自由化など3つの要素が電気料金に与えた影響(8)の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年03月29日

新電力ネット運営事務局

価格と需要から見るガスと電力、自由化など3つの要素が電気料金に与えた影響(8)

前回から引き続き、「電力とガスの違いについて~それぞれの特徴から考察する~」といったテーマにて連載コラムを掲載いたします。第8回目となる今回は、自由化など電気料金に影響を与えた3つのマイルストーンについて概要を見ていきたいと思います。

価格と需要から見るガスと電力、料金構造と事業者の側面から見たコスト構造(7)の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年03月28日

新電力ネット運営事務局

価格と需要から見るガスと電力、料金構造と事業者の側面から見たコスト構造(7)

前回から引き続き、「電力とガスの違いについて~それぞれの特徴から考察する~」といったテーマにて連載コラムを掲載いたします。第7回目となる今回は、ガスと電力における料金構造と、事業者の側面から見たコスト構造について見ていきたいと思います。

2017年度のインバランス単価が決定、平均は6.41円/kWhとなり昨年から2.39円の引き下げの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年03月23日

新電力ネット運営事務局

2017年度のインバランス単価が決定、平均は6.41円/kWhとなり昨年から2.39円の引き下げ

3月21日、経済産業省は「インバランス料金の算定の基となる単価の告示」を行いました。平均は6.41円/kWhとなり、昨年度の8.80円と比較すると2.39円(約27%)の引き下げとなります。

ガス自由化の認知度は約7割、内閣府がガスと電力の自由化アンケートを集計の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年03月22日

新電力ネット運営事務局

ガス自由化の認知度は約7割、内閣府がガスと電力の自由化アンケートを集計

3月2日、内閣府の「消費者委員会第28回公共料金等専門調査会」において、電力・ガス小売自由化に関する消費者意識のアンケート分析結果が発表されました。一次調査では全国の男女40000人に対して、平成29年1月~2月にインターネット調査により実施されています。ガス自由化の認知度や、電力自由化における比較サイトの利用状況などが集計された内容となります。

ガスと電力を比較する、エネルギーの利用用途と自由化による競争(6)の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年03月07日

新電力ネット運営事務局

ガスと電力を比較する、エネルギーの利用用途と自由化による競争(6)

前回から引き続き、「電力とガスの違いについて~それぞれの特徴から考察する~」といったテーマにて連載コラムを掲載いたします。第6回目となる今回は、そもそもガスと電気というエネルギーはどのように利用され、それがエネルギー間の競争に繋がるのか、といったことを見ていきます。