都市ガス小売りの普及ポテンシャル

2015年09月18日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

都市ガス小売りの普及ポテンシャルの写真

都市ガス事業の採算性について、ガス事業者の現状を基に概要を見ていきます。加えて、ガス事業者の新規参入率の推移や、都市ガス利用の機器形態を家庭用・商業用などに分類してご説明いたします。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

都市ガス小売り企業の現状

ガス小売りの自由化が実施されると、各企業が自由に都市ガス事業に参入することが可能となります。まずは、下記図にて都市ガス事業者の現状を概観いただけますと幸いです。

一般ガス事業者の純損失数

上記の表から、、全209事業者のうち27事業者(13%)が赤字であることが分かります。国税庁による会社標本調査(H25年度)では、欠損法人(いわゆる赤字会社)は259万5903社の内176万2596社(68.2%) であるため、その数値と比較すると安定している企業の割合が高いと捉えることができます。

企業規模の面では、181もの私営ガス事業者のうち、143事業者(79%)が、資本金3億円以下の中小企業で構成されています。構成される企業のその多くが中小企業であり、規模の小さな企業でも参入は可能であると考えられる一方、資本金が潤沢になるほど赤字会社の割合が少なくなる結果となっております。資本金が3千万円以下の企業の場合、赤字企業の割合は約23.5%ですが、3千万~3億円の14.2%、3億円以上の0%と比較すると高い割合になります。

都市ガス販売の利用形態

都市ガスの利用は、主に家庭用と、商・工業用、その他に分類することが可能です。それぞれの分類で利用する機器のイメージについては、下記の図をご確認ください。

都市ガス利用の類型

都市ガス販売量の推移

都市ガスの販売量について、1980年から2005年までは順調に伸びておりますが、2005年から2014年の間ではほぼ横ばいの数値となっております。

都市ガス販売量の推移

都市ガスの販売量が伸び悩む要因として、都市ガスの導管普及が容易ではなく、かつガス利用が国民全体に広く行き渡り市場が飽和していること、そしてオール電化の認知拡大・普及が考えられます。特にオール電化等の電気関連事業はガスの代替と成り得るため、ビジネス展開には相互の理解が不可欠です。下記の表にてオール電化(IH・エコキュート)の国内出荷台数をまとめておりますので、ご参考下さい。

IHとエコキュートの出荷量

上記図のようにオール電化の普及は現状のところ堅調であり、一見ガス市場の縮小が想定されますが、ガス普及に向けた取り組みも推進されていきます。日本ガス協会による2030年に向けたガス販売量の目標・政策パッケージを参照すると、より多くのガス利用が実現するシナリオが想定されていると分かります。

都市ガスの販売目標

1.東日本大震災の復興と、当面の電力需給安定に向けて

(1)全国のガス事業者に対する今後の大規模災害に備えた取組みへの支援
(2)節電・省エネルギー対策に資する天然ガス活用策への支援

2.分散型エネルギーシステムの普及推進に向けて

(1)災害重要拠点等のセキュリティ向上に資する分散型システム導入の促進
(2)系統電力の補完、電源多様化に資する支援策、制度改革等の充実
(3)今後の「スマートコミュニティ」構想における分散型エネルギーシステムの組込み
→分散型エネルギーシステムの導入に関する法的位置づけの確立

3.エネルギーベストミックスとしての天然ガスの普及拡大に向けて

(1)長期安定供給と低廉化を両立させるための官民一体となった「資源確保の取組み」強化
(2)天然ガスシフトとエネルギーセキュリティに資する天然ガスインフラネットワーク整備支援
(3)産業部門の熱需要、運輸部門の燃料需要、ガス空調等における「天然ガスシフト」の推進

次の記事:ガス事業と電力事業の円滑な相互参入について

前の記事:都市ガス小売の全面自由化について

123
はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

新電力ネット運営事務局の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0858
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

電力自由化によって広がりを見せる新電力、ファン・コミュニティの魅力で訴求する仕組みの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年10月15日

新電力ネット運営事務局

電力自由化によって広がりを見せる新電力、ファン・コミュニティの魅力で訴求する仕組み

電力自由化に伴い、既存コンテンツのブランド力や地域の魅力にフォーカスしたプランが徐々に増えてきています。今回のコラムでは、そういった電力以外のブランドにおけるファンの購買力や、地域の持つ魅力を新電力事業に取り込む際の基本について概観していきます。

石油元売り3位の東燃ゼネラル、3種類の電気料金プランで小売参入の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年03月04日

新電力ネット運営事務局

石油元売り3位の東燃ゼネラル、3種類の電気料金プランで小売参入

石油業界でJX・出光興産につぐ売り上げ規模(3兆円超)の東燃ゼネラル石油が、一般家庭向けの料金プランを発表しました。2017年4月を目処にJXと統合といった発表で大きく話題となった東燃ゼネラルが販売する電力の概観を見ていきたいと思います。

電気代と電車・バス代が一挙両得の東急プラン、申込件数の伸びも堅調の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年03月07日

新電力ネット運営事務局

電気代と電車・バス代が一挙両得の東急プラン、申込件数の伸びも堅調

東急グループの電気供給の歴史は古く、大正11年(1922年)の富士瓦斯紡績との電力受給契約にまで遡ります。1941年には53万燈以上の契約を保有していた東急グループが設立した東急パワーサプライの電気料金プランについて、その概観を見ていきたいと思います。

大阪ガスの電気、ガスとのセット割で年間約3700円お得にの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年02月23日

新電力ネット運営事務局

大阪ガスの電気、ガスとのセット割で年間約3700円お得に

電力自由化に向け、4大都市ガス事業者の一つである大阪ガスが一般家庭向けの料金プランを発表しました。このコラムでは、大阪ガスが販売する電力の概観を見ていきたいと思います。

東芝と芙蓉総合リース、電力の地産地消事業を開始の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年02月02日

新電力ネット運営事務局

東芝と芙蓉総合リース、電力の地産地消事業を開始

東芝と神奈川県が採択された「平成27年度 地域電力供給システム整備事業」が2月1日より開始しました。太陽光による電力を地域に循環させる形となり、事業を開始するにあたり、1月30日に「東海大学柔道部寮発電所」の開所式を行っています。