石油火力発電所を100%バイオマス燃料に変更検討、関西電力と三菱商事が協力

2017年04月07日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

石油火力発電所を100%バイオマス燃料に変更検討、関西電力と三菱商事が協力の写真

4月5日、関西電力は三菱商事パワー(三菱商事株式会社100%子会社)と共同で「相生バイオエナジー株式会社」を設立したと発表しました。設立の目的は、相生発電所2号機の燃料について、現行の重油・原油から、木質バイオマスへの変更の検討を行うためとなります。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

再生可能エネルギー比率向上を目指し石油火力をバイオマスに

2016年2月に電力業界は「電気事業低炭素社会協議会」を設立、業界全体として2030年度に排出係数0.37kg-CO2/kWh程度(2013年度比▲35%程度相当)を目指すこととしています。また、パリ協定が発行され温室効果ガスの抑制が求められる中、日本としても2030年度に温室効果ガスを26%削減(2013年度比)することを目標としており、今後はCO2排出量の多い産業への排出削減要請がより高まる可能性があります。

こうした環境の中、関西電力は石油火力発電を100%バイオマス燃料に変更する検討を行うため、三菱商事パワーと共同で「相生バイオエナジー株式会社」を設立しました。関西電力は2011年度以降、原子力発電所の長期停止によりCO2排出係数は増加していますが、2015年度はCO2排出係数は前年度より改善し、0.50kg-CO2/kWh(調整後)程度となっています(図1)。関西電力は安全確保を大前提に、S+3Eの観点で、再生可能エネルギー電源の開発を積極的に推進するとしており、今回の燃料変更の検討も「再生可能エネルギー比率向上」が目的となっています。

CO2排出係数などの推移

図1 CO2排出係数などの推移 出典:関西電力

木質バイオマス燃料の調達は三菱商事と協力

関西電力の相生発電所のうち、1号機と3号機は石油と天然ガスの混焼です。2号機だけが石油(重油、原油)専焼になっており、その2号機をバイオマス燃料に変更する予定です。ただ、現在の石油専焼での発電量は37.5万kWですが、バイオマス専焼に切り替えることで、発電量は約20万kWと下がります(図2)。しかし生物由来の有機性資源である木質バイオペレットを使用するため、二酸化炭素の排出抑制に繋がります。つまりカーボンニュートラルとなりCO2は一切出さないと計算されるので、関西電力の再エネ比率は向上することとなります。

バイオマス発電を運営するにあたり課題となるのが、燃料の安定的な調達です。その課題を解決するために、前述のとおり関西電力と三菱商事パワーは共同で新会社を設立、検討を進めていくこととしています。電力業界、そして日本全体の温室効果ガス等の削減目標に寄与することが期待されます。

相生発電所の概要

図2 相生発電所の概要 出典:関西電力

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

新電力ネット運営事務局の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

業界初、エネルギーハーベスティングによるIoT技術を活用したスマート農業の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年05月17日

新電力ネット運営事務局

業界初、エネルギーハーベスティングによるIoT技術を活用したスマート農業

4月25日、ふくしま未来農業協同組合は、NTT東日本の圃場センシングソリューションを導入し、4月より運用を開始したと発表しました。果樹の防霜対策を目的としており、業界初のエネルギーハーベスティングによるスマート農業の推進事例となります。

家庭用の蓄電池を「ブロックチェーン」で統合、再エネの出力制御を抑えるプロジェクト始動の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年05月08日

新電力ネット運営事務局

家庭用の蓄電池を「ブロックチェーン」で統合、再エネの出力制御を抑えるプロジェクト始動

5月2日、欧州の大手送電事業者TenneT社とドイツの蓄電池開発などを手がけるsonnen社は、再エネの出力変動が及ぼす送電網への影響を抑える実証プロジェクトを共同で開始すると発表しました。複数の家庭用蓄電池を「ブロックチェーン」で制御することで、再エネの出力制御を軽減することが期待されます。

滑走路いらず、垂直離着陸ができる世界で初めての電動飛行機「Lilium Jet」が飛行成功の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年04月24日

新電力ネット運営事務局

滑走路いらず、垂直離着陸ができる世界で初めての電動飛行機「Lilium Jet」が飛行成功

4月20日、Liliumはドイツのバイエルン州において、垂直離着陸ができる世界で初めての電動飛行機「Lilium Jet」の飛行試験が成功したと発表しました。電動のため環境や騒音への影響が少なく、滑走路も必要でないことから、都市部での利用可能性も期待できます。

ほぼ100%の変換効率へ、省エネかつ長寿命なディスプレイ、ケンブリッジ大学が発見の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年04月19日

新電力ネット運営事務局

ほぼ100%の変換効率へ、省エネかつ長寿命なディスプレイ、ケンブリッジ大学が発見

3月30日、ケンブリッジ大学はイースト・アングリア大学、東フィンランド大学とのチームにおいて、変換効率がほぼ100%のディスプレイを開発したと発表しました。分子を回転させるこの新技術により、これまでより明るく・省エネでかつ長寿命なポテンシャルを実現します。

電気飛行機が世界最速の337.50km/hを達成、100人を1000km運ぶ旅客機に活用予定の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年04月17日

新電力ネット運営事務局

電気飛行機が世界最速の337.50km/hを達成、100人を1000km運ぶ旅客機に活用予定

4月4日、シーメンスは電気飛行機「330LE」のプロトタイプにおいて、世界最高記録である340km/hを達成したと発表しました。重量わずか50kgのモーターで260キロワットの出力を実現し、グライダーを76秒で600メートルまで引き上げる牽引力もあります。