原油・天然ガス価格の見通し、日本の原油輸入価格は2040年に125ドル/バレル想定
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2017年04月05日
一般社団法人エネルギー情報センター
4月3日、中国電力は将来の原油・天然ガス価格見通しについて、日米欧の代表的な3つの調査機関のデータをまとめた資料を発表しました。2040年までの長期予測について、各団体のデータをまとめた内容となります。
原油価格、EIA、IEA、IEEJによる2040年までの見通し
原油価格は、世界最大のエネルギー源である原油価格だけではなく、アジア等では天然ガス価格の指標になっています。そうしたこともあり、原油価格は世界のエネルギー需給バランスや、世界経済、技術革新、そして燃料費調整単価や発電コストなどに大きな影響を及ぼします。
原油価格は2011年前半~2014年中盤まで、概ね100ドル/バレルで推移していましたが、2014年後半以降は、供給過剰に伴う需給緩和を背景に下落し、足元は50ドル台で推移しています。まずはこの原油価格について、EIA、IEA、IEEJという日米欧の代表的な3つの調査機関が予測する2040年までのデータを見ていきます。
EIAにおける原油価格の見通し
EIA(米国エネルギー情報局)は、米国エネルギー省のエネルギーに関する情報収集と分析を専門に行う組織です。その機関による原油価格(Brent)見通しですが、レファレンスケース、高価格ケース、低価格ケースに加え、技術革新による生産拡大を想定した高資源量ケースなどの8つのケースで分析されています。各ケースにより価格の幅があり、2040年時点で43~226ドル/バレルになるとの見通しを示しています。
レファレンスケース(現状の趨勢で推移するとして見積もられたケース)では、2020年には75ドル、2030年には95ドル、2040 年には109ドルまで上昇すると見込まれています(図1)。価格上昇の理由としては、需要拡大に対応するため、OPEC諸国の生産拡大に加えて、生産コストが高い非OPEC諸国の生産拡大が必要とされているからです。
図1 EIAの原油価格見通し 出典:中国電力
IEAにおける原油価格の見通し
IEA(国際エネルギー機関)はOECD加盟国を中心に、エネルギー安全保障を確立することを目的として第1次オイルショック後の1974年に設立された組織です。IEAは、IEA加盟国の平均輸入価格について分析しています。現行政策シナリオ、新政策シナリオ、450シナリオというケースに分けて分析しており、2040年時点で78~146ドル/バレルになるとの見通しを示しています。
中心シナリオである新政策シナリオでは、需要は拡大し続けるため生産コストが高い地域での生産が必要となり、2020年には79ドル、2040年には124ドルまで上昇するとされています(図2)。
図2 IEAの原油価格見通し 出典:中国電力
IEEJにおける原油価格の見通し
IEEJ(日本エネルギー経済研究所)は日本を代表するエネルギー分析・調査機関です。IEEJは、日本向けのCIF価格(船積み価格に輸送コストと保険料を加算した輸入価格)について分析しており、2040年時点で125ドル/バレルになるとの見通しを示しています。
レファレンスケースでは、生産コストの高い中小規模、極地、大水深油田等へのシフトによる限界費用の上昇が見込まれ、投機・投資資金による価格押し上げの発生も否定できないとしています。そのため、2020年には75ドル、2040年には125ドルまで上昇するとしています(図3)。
図3 IEEJの原油価格見通し 出典:中国電力
天然ガス価格、EIA、IEA、IEEJによる2040年までの予測
天然ガスは世界的な指標価格が存在せず、日本・米国・欧州で価格決定方式が異なります。日本のLNG輸入価格は原油輸入価格にリンクしています。ガス市場の自由化が進んでいる米国や英国では、国内の天然ガス取引地点での需給により価格が決定されており、地域間で価格差が生じています。
原油に引き続き、天然ガスの価格について、EIA、IEA、IEEJという日米欧の代表的な3つの調査機関が予測する2040年までのデータを見ていきます。
EIAにおける天然ガス価格の見通し
EIA は、ヘンリーハブ価格(米国内の天然ガス取引基準価格)について分析しており、2040年時点で3.4~9.8ドル/百万Btuになるとの見通しを示しています。レファレンスケースでは、米国内外の需要が拡大することで、長期的には生産コストが高い地域での生産が必要となるため、2040 年には5.1ドルまで上昇するとしています(図4)。
図4 EIAの天然ガス価格見通し 出典:中国電力
IEAにおける天然ガス価格の見通し
IEAは、米国のヘンリーハブ価格と、日本と欧州の平均輸入価格について、原油と同様に現行政策シナリオ、新政策シナリオ、450シナリオの3つのシナリオで分析しています。その分析によると、2040年時点で日本の場合は10.9~14.4ドル/百万Btu、欧州で9.9~13.0ドル/百万Btu、米国は5.4~7.9 ドル/百万 Btu になっています。
また、中心シナリオとなる新政策シナリオでは、日本のケースでは2040年に12.4ドル/百万Btuとなっています(図5)。
図5 IEAの天然ガス価格見通し 出典:中国電力
IEEJにおける天然ガス価格の見通し
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
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