三菱重工業とデンマークの合併企業による風力発電、世界最高記録の発電量を達成

2017年02月08日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

三菱重工業とデンマークの合併企業による風力発電、世界最高記録の発電量を達成の写真

1月26日、デンマークのMHI Vestas Offshore Wind社が、同社の風力発電設備が世界最高記録を達成したと発表しました。その発電量は、特定の条件下であれば9MWに達するとしており、試作品では24時間にわたって216,000kWh(実測値215,999.1kWh)を生産しました。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

世界最高の発電量を達成、投資費用の抑制も可能

三菱重工業とデンマークのヴェスタス社の合弁会社である「MHI Vestas Offshore Wind A/S」は、新型の風力発電が世界最高となる24時間で21万6,000kWhの発電を達成したと発表しました。これにより、特定の条件下で9MWの運転が実現したこととなります。

今回の世界記録は、デンマーク北部にあるØsterild試験場において、24時間実施された陸上実証運転で達成されたものです。出力向上のメリットとしては、設置基数の削減による投資費用の抑制であり、様々な環境のプロジェクトで価値をもたらします。また、安全面などについては、これまでのV164プロトタイプ機のプラットフォームを活用したことで、信頼性を確保しています(図1)。

V164の外観

図1 V164の外観 出典:MHI Vestas Offshore

これまでの記録は8MW、今回の発電所で1MW上回る

これまでの風力発電の発電量における世界記録は、同社の「V164-8.0MW」でした。2014年に、24時間で19万2,000kWhの発電を記録し、8MWの運転が実現しました。今回の9MWを実現した新型は、この「V164-8.0MW」をベースとして開発されたものです。前述の通り、こうした既存の製品をベースとして新型製品も開発しているため、信頼性の向上につながっています。

これだけの規模の発電量なので、風力発電設備も非常に大きいものとなっています。その直径は164メートルであり、ロンドンの名所である「ロンドン・アイ」の135mを上回ります(図2)。ブレードも巨大であり、重さは各々で35トン、直径は4.6メートルなので2階建てロンドンバスと同等です。

この「V164-8.0MW」ですが、1月17日に三菱重工業がドイツのプロジェクトで56基受注したと発表しています。世界有数の風力発電事業者である「DONG Energy」がドイツで計画する、出力45万kW級の洋上風力発電プロジェクト向けのものとなります。「MHI Vestas Offshore Wind A/S」としては、これまでで最も大きな規模の受注であり、またドイツにおいても最大の洋上ウィンドファームとなります。設備の据付開始は2019年の予定となっています。

V164-8.0 MWの大きさイメージ

図2 V164-8.0 MWの大きさイメージ 出典:Vestas

デンマークは風力の利用率が最も多い国

デンマークは世界の中で最も風力発電の設置が活発である国の一つです。デンマークの国営系統事業者「Energinet.dk」によると、2015年度には全体需要のうち42%が風力発電により賄われ、その割合は世界一とされています。また、これまでも堅調に風力発電の割合は伸びてきており、2014年度の時点においても39%と世界一位の割合でした(図3)。

再生可能エネルギーの普及政策の歴史も長く、固定価格買い取り制度については、その雛形が1984年に導入されました。これは、風力発電協同組合と電力会社と政府との三者合意によるものです。この三者合意は、風力発電で発電した電気を、10年間、平均電気料金の85%の値段で買い取るというものです。第2次世界大戦中に石油や石炭の欠乏対策として風車が普及した下地もあり、制度の導入後はより風力発電の普及が推し進められることとなりました。

再生可能エネルギー発電の拡大で有名なドイツにおいても、デンマークの事例を参考に固定価格買取制度が導入されております。ドイツにおいては当初、再生可能エネルギー電力の買取価格を、平均電気料金の85%を四捨五入し90%と定めて運用していました。このように、デンマークは世界の再生可能エネルギー普及を牽引してきた国の一つであり、今回の風力発電に関しても新しい価値を生み出していくことが期待されます。

デンマークの電力需要に占める風力発電の割合

図3 デンマークの電力需要に占める風力発電の割合 出典:Energinet.dk

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