太陽光発電で飛ぶ飛行機、1時間当たりの電力料金はわずか1ドル

2016年06月08日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

太陽光発電で飛ぶ飛行機、1時間当たりの電力料金はわずか1ドルの写真

航空機メーカーである米Aero Electric Aircraft(AEAC)(デンバー州)は、太陽光発電を利用してモーターを駆動させて飛ぶ「Sun Flyer(サンフライヤー)」を開発、試作機を発表しました。CO2排出ゼロかつ運用コストを抑えられ、騒音も少ない特性を持ちます。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

太陽光で飛ぶ飛行機「Sunflyer」、3時間の飛行が可能

Sunflyerは、太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を搭載したCO2排出ゼロの飛行機です。30分間の充電で3時間もの飛行が可能な、パイロット養成用の量産型練習機となります(図1)。

太陽光を利用した飛行機としては、世界一周に挑戦した「Solar Impulse 2」が有名です。同機は主翼全長が72mとジャンボジェット機並みに巨大でした。「Solar Impulse 2」が巨大な理由は、太陽電池と蓄電池の規模が大きく、夜間飛行を蓄電池で全てまかなうことが可能なため航続距離に限界がない仕様になっているからです。

一方で、Sun Flyerは小型で量産できる2人乗りの練習機として、主翼全長は約11mとSolar Impulse 2の7分の1程度となっています。

AEAC社が開発したSunflyerの主な利点は、CO2を排出しないこと、飛行コストを抑えられること、騒音が少ないこと、シンプルなため本体価格が安く抑えられることが挙げられます。以下にて、その概要を見ていきます。

CO2の排出がゼロ

通常の飛行機は、内燃機関であるエンジンを利用して飛行します。これはジェット機だけではなく、プロペラ機にも当てはまります。ところが、Sun Flyerの動力はエンジンではなく、電気自動車と同様に電動モーターです。このため、エンジンを冷却するために必要な空気の取り入れ口を確保する必要もなくなります。こういった構造から、空気抵抗が少ない形状にすることが可能であり、燃費性能を高められます。また、電動モーターを使っているので、飛行によるCO2の排出はゼロとなっています。

飛行コストは、1時間当たり約1ドル

飛行に必要な運用コストは、内燃機関を利用した飛行機と比較すると5分の1程度ですみます。理由として、まずは太陽光により充電しているため燃料費を安く抑えられるからです。1時間飛行するために必要な燃料費は約1ドルとなります。また、複雑な構造をもつ内燃機関のエンジンと異なり、電動モーターは主要な部品が1つしかないため、メンテナンスコストも著しく抑えられます。

騒音は、車のアイドリングより小さい音量

通常の航空機のエンジン音は120デジベルほどの音量ですが、SunFlyerはわずか55dBという値であり、非常に静かです。家庭用クーラー(室外機)よりも少し音が大きく、車のアイドリングよりも少し音が小さい、といった音量となります。

空港が都市や住宅街と近接している場合、離着陸の騒音被害が発生するケースもありますが、そういった問題が起こりにくくなります。Sunflyerはパイロット養成用の練習機のため、頻繁に離着陸を繰り返すことが想定されますが、騒音の心配を減らすことができます。

本体価格は約25万ドルの見込み

Sunflyerの1機あたりにおける製造コストは、約25万ドル(約2800万円)になる見込みです。一方で、同じサイズの機体でガソリンエンジンを搭載するセスナ172の製造コストを見てみると、約30万ドル(約3300万円)ほどとなっており、Sunflyerの方が安価になっています。

FAAの認可取得は3年以内の想定

Sunflyerが販売開始されるには、米連邦航空局(FAA)の認証を得る必要があります。AEAC社は、今回公開したコンセプト実証機の性能データをベースとして仕様を確定し、3年以内にFAAの認証を得る予定です。

ローコストな練習機で養成コストの引き下げ

米国では個人利用による飛行機が普及しているため、練習機の需要も高いです。一方で、これまでは飛行機の操縦技術を習得するために必要な養成コストが高いという課題がありました。しかし、Sunflyerのように低コストかつ環境に優しい練習機が登場することにより、これまでは価格面などで手の届かなかった層にも飛行機が行き渡ることが考えられます。

Sun Flyerの飛行イメージ

図1 Sun Flyerの飛行イメージ 出典:Aero Electric Aircraft Corporation

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

新電力ネット運営事務局の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

平成28年度の新エネ大賞決定、IHIと新日鐵住金による高比率バイオマス混焼の火力発電などが受賞の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年02月23日

新電力ネット運営事務局

平成28年度の新エネ大賞決定、IHIと新日鐵住金による高比率バイオマス混焼の火力発電などが受賞

2月15日、平成28年度の新エネ大賞表彰式が東京ビッグサイトにて開催されました。経済産業大臣賞1件、資源エネルギー庁長官賞2件、新エネルギー財団会長賞4件、審査委員長特別賞1件の合計8件が選ばれ、賞状と副賞(楯)の授与が行われました。

太陽光関連業者の倒産動向、前年の36件から67件に、3年連続で増加傾向の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年02月13日

新電力ネット運営事務局

太陽光関連業者の倒産動向、前年の36件から67件に、3年連続で増加傾向

2月8日、帝国データバンクは「太陽光関連業者の倒産動向調査 」を発表しました。2016年は67件が倒産しており、前年の36件から86.1%の増加となりました。FITにおける買取価格が4年連続で引き下げられたことが主な要因と考えられます。

三菱重工業とデンマークの合併企業による風力発電、世界最高記録の発電量を達成の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年02月08日

新電力ネット運営事務局

三菱重工業とデンマークの合併企業による風力発電、世界最高記録の発電量を達成

1月26日、デンマークのMHI Vestas Offshore Wind社が、同社の風力発電設備が世界最高記録を達成したと発表しました。その発電量は、特定の条件下であれば9MWに達するとしており、試作品では24時間にわたって216,000kWh(実測値215,999.1kWh)を生産しました。

東北電力、風力発電が「30日等出力制御枠」に到達、無補償の出力制御への同意が必要にの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年02月06日

新電力ネット運営事務局

東北電力、風力発電が「30日等出力制御枠」に到達、無補償の出力制御への同意が必要に

2月3日、東北電力は風力発電設備が接続可能量(30日等出力制御枠)へ到達したと発表しました。これにより、今後は風力発電の系統連携を申し込む際には、年間720時間を超えた無補償での出力制御に同意することが必要となります。

太陽光発電の満足度調査、国産メーカーが満足度上位にランクインの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年01月24日

新電力ネット運営事務局

太陽光発電の満足度調査、国産メーカーが満足度上位にランクイン

住宅リフォーム関連サービスを展開するローカルワークスは、1月19日に太陽光発電メーカーの満足度調査結果を発表しました。アンケートを利用した調査を実施しており、太陽光発電を実際に導入した950人を対象としています。