国内のエネルギー動向を見る、GDP当たりのエネルギー消費は中国の約5分の1

2016年05月26日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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本コラムでは、日本におけるエネルギー消費の動向について、各部門別の消費量や経済成長に伴う利用量の推移、そしてエネルギー源の変遷や国内自給率といった観点から概要を見ていきます。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

2014年における日本のエネルギー消費、1973年と比較し1.2倍に

日本の省エネルギー化は、1970年代の二度の石油ショックを契機に、製造業を中心に進みました。省エネルギー製品の開発も盛んになり、エネルギー消費を抑制しながら経済成長を果たしています。1973年度と比較すると、2014年度はGDPが2.4倍になっているにも関わらず、最終エネルギー消費は1.2倍となりました。

1973年から1986年までは、GDPが成長しているにも関わらず、エネルギー消費の変動はそれほど大きくありませんでした。その後、1990年代は原油価格が低水準で推移する中、家庭部門・業務他部門を中心にエネルギー消費が増加しました。しかし2004年度をピークに、エネルギー消費は減少傾向に転じます。2008年度はリーマンショックによる景気低迷、そして2011年度からは東日本大震災以降の節電意識の高まりなどによって更に減少が進みました。2014年度は実質GDPが2013年度より1.0%減少したことも加わり、最終エネルギー消費は3.2%減少しました。

部門別にエネルギー消費の動向を見ると、1973年度から2014年度までの間、企業・事業所他部門が1.0倍、家庭部門が2.0倍、運輸部門が1.7倍となりました。企業・事業所他部門では石油ショック以降、製造業を中心に経済成長する中でも省エネルギー化が進んだことからほぼ横ばいで推移しています。一方、家庭部門・運輸部門ではエネルギー機器や自動車などの普及から、増加傾向にあります(図1)。

最終エネルギー消費と実質GDPの推移

図1 最終エネルギー消費と実質GDPの推移 出典:経済産業省

企業・事業所他部門、2014年度は最終エネルギーの62.7%を占める

企業・事業所他部門とは、製造業、農林水産鉱建設業、業務他(第三次産業)の合計です。1965年度から2014年度までの全期間において最終エネルギー消費で最大のシェアを占めています。2014年度は最終エネルギー消費全体の62.7%の割合となりました。

製造業は、企業・事業所他部門において最も割合の大きな部門です。第一次石油ショック前の1965年度から1973年度までは、年間で平均11.8%で増加し、実質GDPの伸び率を上回りました。その後、1973年の第一次石油ショック以降は減少傾向を示し、年間で平均2.5%減少しました。1987年度から再び増加に転じましたが、2008年以降はリーマンショックや東日本大震災などが影響して1973年度の水準を下回るまで減少しました。

1973年度と2014年度を比較すると、経済規模は2.4倍になり、製造業全体の生産も1.6倍に増加していますが、製造業のエネルギー消費は0.9倍まで低下しました(図2)。

製造業のエネルギー消費と経済活動

図2 製造業のエネルギー消費と経済活動 出典:経済産業省

最終エネルギー消費における家庭部門の割合は14.3%

家庭部門は、自家用自動車などの運輸関係を除く家庭でのエネルギー消費となります。2014年度の最終エネルギー消費全体に占める家庭部門の割合は、14.3%となっています(図3)。

最終エネルギー消費の構成比(2014)

図3 最終エネルギー消費の構成比(2014) 出典:経済産業省

第一次石油ショックのあった1973年度の家庭部門のエネルギー消費量を100とすると、2000年度には216.9まで拡大しました。その後省エネルギー技術の普及と省エネ意識の向上に従い、家庭部門のエネルギー消費量は低下傾向となり、2014年度には196.1まで低下しました(図4)。

家庭部門におけるエネルギー消費の推移

図4 家庭部門におけるエネルギー消費の推移 出典:経済産業省

最終エネルギー消費に占める運輸部門の割合、家庭部門を上回る23.1%

運輸部門は、乗用車やバスなどの旅客部門と、陸運や海運などの貨物部門の2つに大別されます。2014年度、最終エネルギー消費全体に占める運輸部門の割合は23.1%となりました。このうち、旅客部門のエネルギー消費量が運輸部門全体の60.2%、貨物部門が39.8%を占めました(図5)。

運輸部門のエネルギー消費構成

図5 運輸部門のエネルギー消費構成 出典:経済産業省

GDPあたりのエネルギー消費、中国の約5分の1

2013年における日本の実質GDP当たりのエネルギー消費は、世界の中でも高く、省エネルギーが進んでいる欧州と同等の水準です。中国やタイと比較すると約5分の1であり、日本のエネルギー効率は高いことが見て取れます。また、OECDは非OECDの国と比べ3分の1程度の数値であり、先進国のエネルギー効率は高い傾向にあります(図6)。

実質GDP当たりのエネルギー消費の主要国比較(2013年)

図6 実質GDP当たりのエネルギー消費の主要国比較(2013年) 出典:経済産業省

石油偏重からエネルギー源の多様化進む

日本の高度経済成長期をエネルギー供給の面で支えたのは、中東地域などで生産される石油が大きなウェイトを占めます。1973年度、日本における一次エネルギー供給の75.5%を石油が占めていました。

しかし、1973年に発生した第一次石油ショックによって、原子力、天然ガス、石炭などの導入を推進しました。その6年後である1979年、再び原油価格が大幅に高騰した第二次石油ショックは、原子力、天然ガス、石炭の導入を更に促進し、再生可能エネルギーの開発を加速させました。

その結果、一次エネルギー国内供給に占める石油の割合は、2010年度には39.8%となり、その代替として、石炭(22.5%)、天然ガス(19.2%)、原子力(11.1%)の割合が増加するなど、エネルギー源の多様化が実現しました。2011年に発生した東日本大震災とそれに伴う原子力発電所の停止により、石油利用の割合はいったん上昇に転じました。しかし、2014年度には発電部門において、石油からLNGや再生可能エネルギーへの転換が進み、その割合は2013年から引き続き2年連続で減少しています(図7)。

一次エネルギー国内供給及び電力化率の推移

図7 一次エネルギー国内供給及び電力化率の推移 出典:経済産業省

2014年度のエネルギー自給率、過去最低の6.0%

1960年には主に石炭や水力など国内の天然資源により58.1%であったエネルギー自給率は、それ以降大幅に低下しています。理由として、価格競争力を失った国産石炭の代わりに利用された石油やLNGが、大半が海外から輸入されているからです。2014年は原子力発電所の発電量がゼロであったこともあり、日本のエネルギー自給率は過去最低の6.0%となりました(図8)。

日本の一次エネルギー国内供給構成及び自給率の推移

図8 日本の一次エネルギー国内供給構成及び自給率の推移 出典:経済産業省

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