電力自由化、新電力199社の分析、異業種からの参入7割

2016年03月06日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

電力自由化、新電力199社の分析、異業種からの参入7割の写真

3月4日、東京商工リサーチは「登録小売電気事業者」199社の経営調査を発表しました。新電力企業の売上高、業種、所在地、そして事業のポイントなどを細かく分析調査した内容となっており、その概観を見ていきます。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

売上高100億円以上が半数近く、しかし1億円未満も6%以上

東京商工リサーチが直近決算を把握した登録小売電気事業者(以下新電力)141社のうち、売上高100億円以上は66社(構成比46.8%)となります。このうち、単体ベースの売上高が1兆円超の大企業12社(同8.5%)です。知名度や事業基盤の優位性を武器に、電力市場の獲得を狙う意図だと考えられます。

売上高100億円以上といった規模の大きい企業が半数近くを占めておりますが、一方で1億円未満の企業も6%以上の割合で存在します(図1)。地域密着、省エネコンサル、太陽光発電販売との連携、ブランディングなどの戦略を元に事業展開していくものと考えられます。

新電力事業者の売上高別グラフ

図1 新電力企業の売上高別構成 出典:東京商工リサーチ

異業種7割、放送・ガスなど地域密着の企業が参入

新電力企業の本業では、電気業は63社(構成比31.6%)と約3割にとどまり、異業種からの参入が約7割近くを占める形となっております。巨大な電力市場に、様々な企業が注目を集めている様相です。異業種参入では放送業が29社(同14.5%)と最も割合が高く、続いてガス業17社(同8.5%)となっています(図2)。地域で知名度が高く、かつ消費者向けビジネスモデルに長けた業種となっており、顧客囲い込みや満足度向上の狙いがあると考えられます。

約3割にとどまった電気業の内訳をみると、これまで高圧部門での販売実績がある企業や、電力全面自由化に備えて新設された企業が中心となっています。

本業の産業別内訳は、電力業やガス業といったサービス業他が107社(構成比53.7%)と約半数です。農・林・漁・鉱業と金融・保険業からの参入はゼロであり、今後の参入が期待されます(図2)。

業種別新電力事業者

図2 業種・産業別企業の割合 出典:東京商工リサーチ

本社所在地は関東・東京に集中

本社の所在地を見ると、関東が125社(構成比62.8%)と約6割を占め、そのうち東京都が90社と半数近く(同45.2%)となっています(図3)。最も市場規模の大きい関東圏は事業として魅力的な地域である分、競争も激化していくと考えられます。

資源エネルギー庁によると、10社以上が電力供給予定地を「全国及び沖縄県を除く全国」としているため、本社が全く存在しない地域であっても、複数の事業者からサービスを受けられる可能性はあります。実際に、例えば東京電力は中部や関西にも事業進出する予定です。しかし、現状では東京など都市圏の選択肢が豊富な事実があり、地方の需要家は電力自由化の恩恵をなかなか受けずらい環境になると考えられます

新電力企業の本社所在地一覧

図3 新電力企業の本社所在地 出典:東京商工リサーチ

現状の変更申請数

「電力広域的運営推進機関」によると、電力購入先の変更を申請した件数は2月19日までに全国で約23万4000件にのぼります。このうち、東京電力管轄が16万4000件関西電力管轄は6万件と全体の96%近くを占めます。企業別にみると、例えばガス最大手の東京ガスは5万件を超える申請を既に受けており、知名度や価格競争力を武器に、今後さらに伸びると考えれます。

巨大な市場であるだけに、今後もセット割引やポイント付与などのメニューで顧客獲得競争が激化していくと想定されます。その過程でサービスの多様性が生まれ、電力の切り替えも徐々に広まっていくと考えられます。ただし、昨年12月の販売実績で5位の日本ロジテック協同組合が資金不足から撤退するなど、競争激化の波を乗り越える戦略がより重要になっていく時代に突入したといえます。

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

新電力ネット運営事務局の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0858
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

常時バックアップの料金・単価と制度設計の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年01月06日

新電力ネット運営事務局

常時バックアップの料金・単価と制度設計

常時バックアップについて、制度設計の基礎や料金単価の一覧といった内容についてまとめてあります。今後は卸市場への移行に向け段階的に廃止される予定ですが、当面はベース電源として有効な電力調達方法となります。

中国電力、カープ応援メニューで野球ファンの需要取り込み、首都圏にも進出の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年03月08日

新電力ネット運営事務局

中国電力、カープ応援メニューで野球ファンの需要取り込み、首都圏にも進出

3月7日、中国電力は首都圏の需要家に対し、新プランの提供を発表しました。野球球団(広島東洋カープ)とのコラボが特徴的であり、カープの公式戦勝利や年間成績に応じた追加特典ポイントを進呈する内容です。

ガス事業と電力事業の円滑な相互参入の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2015年10月02日

新電力ネット運営事務局

ガス事業と電力事業の円滑な相互参入

小売り自由化に伴いガス・電力の垣根が撤廃され、既存のビジネスモデルを変革する新しい事業の在り方が生まれると想定されます。海外の事例を基に、今後のガスと電力の相互参入についてみていきます。

電気料金プランの変更における生活の変化、約6割が「何らかの変化があった」と回答の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年11月03日

新電力ネット運営事務局

電気料金プランの変更における生活の変化、約6割が「何らかの変化があった」と回答

経済産業省が10月に発表したインターネットアンケート調査結果によると、「電気料金プランの変更により生活が変わった」と回答した割合は約6割となりました。このコラムでは、料金プランの変更でどのように生活が変わったのか、どういった部分に需要家が満足を感じているのかについて見ていきます。

電力自由化によって広がりを見せる新電力、ファン・コミュニティの魅力で訴求する仕組みの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2016年10月15日

新電力ネット運営事務局

電力自由化によって広がりを見せる新電力、ファン・コミュニティの魅力で訴求する仕組み

電力自由化に伴い、既存コンテンツのブランド力や地域の魅力にフォーカスしたプランが徐々に増えてきています。今回のコラムでは、そういった電力以外のブランドにおけるファンの購買力や、地域の持つ魅力を新電力事業に取り込む際の基本について概観していきます。