はじめてのエネルギー環境教育

発行年月日:2016年7月27日
発行所:エネルギーフォーラム

編集:日本エネルギー 環境教育学会

はじめてのエネルギー環境教育の写真

理科、社会科、技術・家庭科、総合的な学習の時間 学校の授業で活かせるエネルギー環境教育の決定版です。元文部大臣・有馬朗人氏が推薦しています。

著者インタビュー

著者情報

熊野善介の顔写真

日本エネルギー環境教育学会

会長 熊野善介氏

1955年宮城県生まれ。78年に宮城教育大学卒業後、80年に筑波大学大学院教育研究科修士課程、93年にアイオワ大学大学院博士課程修了。静岡大学創造科学技術大学院・大学院教育学研究科教授、日本エネルギー環境教育学会会長、現職

ーー本書を書いたきっかけは?

日本エネルギー環境教育学会として、現場の先生方への分かりやすい「エネルギー環境教育」の入門書を作成することは、当初からの念願のひとつでした。特に東日本大震災後は、日本中の先生方が大変戸惑っており、指針となる授業モデルを求めていました。2015年末には経済産業省資源エネルギー庁から『日本のエネルギー』が発行され、日本としての持続可能な道筋が出てきました。これを機に、学校の先生を主な対象とした、本書を世に出すこととなりました。

ーー本書で特に伝えたいことは?

児童・生徒が主体的に問題や課題を見出し、自らその解決のために、さまざまな科学技術の研究、社会科学的な研究を含めた分野横断的な「より深い学び」を展開する必要があります。それも個人で行うものではなく、多くのグループワークとして取り組む活動が必要です。「3E+S(安定供給・経済性・環境+安全性)」のために、どのようなデータに基づき、どのようなモデルを構築できるのかなどを発表し合い、話し合い議論する場面が必要だと思います。

まさに、時々刻々と変化する世界情勢、日本の文脈、科学技術の進歩を常に理解しながら、意思決定をしていかなければならないことを理解できる国民の育成ということになります。答えはひとつではなく複数あり、どのような意思決定をするとどのようになるかを、リスク管理も含めて真剣に合意形成を行っていく必要があります。

ーー今後のエネルギー環境教育について

文部科学省の次期学習指導要領の方向性を示す、中央教育審議会での議論をもとにまとめられた「論点整理」にもあるように、「より深い学び」や「21世紀型の能力」の育成であるとか、「アクティブ・ラーニング」などと示されており、「新たな課題を果敢に解決できる人材」が求められています。まさにエネルギー環境教育は、そのような人材育成のための学習です。今後とも日本の学校にとってより質の高い内容が生み出されていくことでしょう。